日本語通訳ガイド同行スペシャルツアー
'ユーコンリバー7日間(日本発着8日間) Report by Katsu Sakuma
バンクーバー国際空港で国内線に乗り換え約2時間、ユーコン河の玄関であるホワイトホースに到着する。出迎えたカヌーピープル(KP)のバンに乗り込み10分程でダウンタウンにあるKPのショップに到着する。すぐ裏手がユーコン河という最高の立地条件である。現にショップ横からカヌーに荷物を満載してツアーを始める人も大勢いるという。KPのオーナーで、今回ヘッドガイドをしてくれるスコットが挨拶に来てくれた。KPはユーコンで最も古く実績のあるアウトフィッターで、日本人だけでなく世界中のカヌーイスト達のご用達ショップとなっている。ここでツアーのブリーフィングとパッキングの説明を受ける。今回は2組の親子に女性3人と男性2人と通訳ガイドの僕をいれて総勢10人のグループである。カヌーツアーは4泊5日で約160キロを下るので、1日40キロ前後を下る計算である。河の流れは時速10キロ前後なので、さほど厳しい距離ではないだろう。パッキング用に各自110リッターと50リッター前後の防水バッグが配られた。これに各自の個人装備とテント、シュラフなどをパッキングする。ブリーフィングの後ショップ近くのホテルにチェックインし、自由行動となる。
翌朝ホテルで朝食を済ませた後、KPのバンに乗り10分程で水上飛行機の発着場に着く。KPからカヌーで出発するとレイクラバージュという南北に50キロある大きな湖を越えなければ行けないので、この湖を水上飛行機で一気に飛び越えてしまうのだ。眼下にはホワイトホースの町並みと蛇行するユーコン河、そしてレイクラバージュが広がり遊覧飛行も楽しめツアーの劇的な幕開けとなった。約30分後に湖の北端のキャンプサイトに到着すると、スコットと息子のアレックスが出迎えてくれた。彼らは前夜のうちにカヌーやキャンプ道具など一切を船で運んでくれていたのだ。それぞれ気に入った所にテントを張りキャンプサイトの設営をする。キャンプサイトを終えるとランチが手際良く準備され、ランチの後1時間ほどカヌーの講習をした。その後、キャンプサイト裏の山を登り、展望の良い頂上付近へ出た。湖畔に設営された小さなテント村とその前に広がる雄大な湖と山々が対照的だった。キャンプサイトに戻り夕食まで各自カヌーを漕いだり、釣りをしたり、時差ボケで居眠りをしたりとリラックスして過ごせた。夕食は、焚き火で焼いた分厚いステーキにベイクポテト、トウモロコシ、サラダという豪快でとても美味かった。時計を見るともう午後9時を回っていたが、太陽はまだ空高く3時ごろの感覚だ。ここは北緯61度で北極圏に近く夏は白夜の地なのだ。それでも11時を過ぎるとやっと暗くなり始めた。するとキャンプファイアーを囲んでいた誰かが、オーロラに気づいた。僅かに北の空に白い帯がたなびいている。周囲の暗さが増すにつれ白い帯が黄色や赤紫に色づきはじめ、たなびく度合いも増して来た。何かの本で読んだ「天の神が踊る様」という表現にピッタリのオーロラだった。この夜のオーロラは衰える様子は無かったが、次の日からはいよいよカヌーで移動なので2時ごろにはめいめいテントに入り眠りについた。
翌朝ホットケーキにハムの朝食を取った後、キャンプを撤収しカヌーにパッキングした荷物を積み込みユーコンの河下りが始まった。1時間程で湖からユーコン河が流れ出す地点に差し掛かった。確かに川幅も狭くなり、流れも相当な速さになっている。この辺りの岸辺には1800年末から1950年代のゴールドラッシュ時代ロワーラバージ村という集落があり、蒸気船の寄港地として栄えていたらしい。上陸してみると電信中継所に使われていた建物やロードハウスと呼ばれる宿屋に使われていたログハウスが何棟か現存していた。ここから先の30マイル(約50キロ)期間は「ザ・サーティマイル」と呼ばれ、3600キロあるユーコン河の中でも自然・景観・史跡の3拍子揃った最も素晴らしいセクションであり、カナダヘリテージリバーの一つに指定されている。なるほどこの先はくねくねと蛇行し、川に侵食された渓谷美が続いている。しばらく漕ぎキャンプサイトのある川中島に上陸しランチ休憩となる。アレックスが上陸するやいなや40cm以上あるグレイリングと呼ぶマスを釣り上げた。すると皆も釣りにはまり、川岸にズラリと並んでしばらくグレイリング釣りを楽しんだ。小さなスプーンで面白いほど良く釣れる。河が豊かな証拠である。時折真っ赤に染まったキングサーモンが飛び跳ねるがこちらは専用のしかけでないとなかなか釣れる代物ではない。その後、3時間ほど漕ぎキャンプサイトに上陸した。ここのサイトは白樺林のかなり広い場所で、テーブルやトイレなども整備されていた。ガイドが夕食を準備する間、皆は再び釣りを楽しんだ。この日の夕食はポーク野菜炒めに白いご飯、そして皆が釣りあげたグレイリングを焚き火で焼いたおかずで和風の夕食で最高だった。
翌朝、朝食後キャンプを撤収し再び出発。2時間ほど漕ぐとフータリンクアの廃村に到着した。ここもゴールドラッシュ時代金が発見されたのを契機として物資の中継基地として開かれた村である。他の村同様、連邦警察の派出所や電信基地が建てられた。幾つかの小さなキャビンが現存している。最近建てられた説明板には大きな蒸気船が行き交う当時の写真があり今では信じがたい光景である。親子組みのS君がここで大きなパイクを2匹釣りあげた。パイクはカマスの仲間でワニのような尖った鼻先で、歯も鋭くギザギザ状になっている獰猛な魚である。正に1匹のお腹から小さな魚が6匹ほど出てきた。その後再びカヌーに乗りすぐ下流のシップヤード島に上陸。この島は蒸気船の修理ドック及び冬期保管場所として使われ、島内には40mの大きな外輪船「Evelyn/Norcom」号がそのまま放置され、朽ち果てるのを待っている。フータリンクアの説明版を裏付ける証拠である。この島を後にし、再び漕ぎ始める。間もなくスコットが「ラフトを組め!」というので皆のカヌーを集め筏に組むと、スコットがツーバーナを取り出しランチの準備を始めたかと思うとラーメンが素早く出てきた。水上ランチである。ラーメンをすすりながら流れにまかせて漕がずに進む。ユーコンツアーの醍醐味の一つである。
暫く流れにまかせて下っていると、前方の中洲に何やら平らで大きな物が突き出ているのを誰かが発見した。昔に座礁した蒸気船の残骸である。上陸して見ると現在はデッキ部のみが水面から出ており、エンジンルームなどは良い漁礁となっていた。夕方、3泊目のキャンプ地ビッグサーモンの廃村に到着。ビッグサーモンルバーとの合流地点である為、やはりここもゴールドラッシュ時代に蒸気船中継基地として栄えた村である。今回訪れた廃村で一番多くログハウスが残りいかにも村という感じだった。スコットが高校生のD君に薪割りを教えていた。夕食は焚き火で焼いたソックアイサーモン包焼きにパスタサラダ、そしてS君の釣ったパイクのソテーを堪能した。焚き火を囲みいつまでも楽しいおしゃべりが続いた。
朝食の後キャンプ撤収をしていると、地元のネイティブ2人がモーターボートで僕らの所へやって来た。狩猟最中らしくムースを見かけたかどうか情報を聞きにキャンプに訪れたのだ。ムースを見ない理由が分かった。ビッグサーモンを後に1時間ほど漕ぎ進み、パイクが良く釣れるという細長い入り江付近で釣りを楽しんだ。いきなりS君に大きなパイクがヒット。20分程のファイトの後、1m弱の超大物がかかった。D君の釣るM親子艇にも大きなパイクがヒット。10分位ファイトした後、残念ながらバレてしまった。水上ランチを楽しんでいるとソロカヌーが通り際に、「この先に展望のいいハイキングコースがあるぞ」と教えてくれたので、そこへ登ってみる事にした。見上げるとゆうに100m以上ある火山灰が堆積したクレイバンクである。崖の表面がもろいのだろう柱状に侵食し奇岩になっている。尾根伝いに一気に100メートル程登り頂上に達した。頂上からは僕らの来たルートとこれから進む蛇行した雄大なユーコン川と山々が360度見渡せ素晴らしかった。
カヌーに乗り込み進んでいると、周囲の森が黒焦げに漕げている。先ほど頂上で見た山火事の跡の中を進んでいるのである。自然の摂理とは言え毎年山火事は絶えないのだと言う。ツアー最中も数百キロ先で山火事が進行し、もやがかった日もあった程だ。焦げて立ち枯れした木の頂きを良く見ると、白頭鷲やイヌ鷲を良く見かける。彼らは河の中の魚を狙っているのだが、猛禽類の頂点だけあり威厳のある出で立ちである。この時、先頭を進む何艇かの人達がリンクスというヤマネコを目撃した。河岸で置物の様にじっとしていたらしい。リンクスは夜行性なので昼間見る機会はあまりない、見た人はラッキーである。夕刻、最後のキャンプサイトに上陸。焚き火を囲みツアー最後の夜を楽しんだ。
朝食後、キャンプ撤収し出発。昼頃終点のリトルサーモンのキャンプ地へ到着しツアーが無事終了した。ここにはかつてユーコン河上流域で最も古いネイティブ集落があった。現在は彼らの使うハンティングキャンプとスモークハウスが立ち並んでいる。ここでランチ休憩をしていると間もなくKPのバンがやって来た。トレーラーにカヌーをくくりつけ、荷物を載せてホワイトホースに向けて帰還した。2時間半でホテルに着き夕食まで各自自由行動となった。夕食はスコットがKPの庭でBBQのさよならディナーを開いてくれた、あいにくの雨だったがタープをかけキャンプの延長気分で返って良い思い出となった。夕食後はKPの物置の壁に恒例の記念サインをそれぞれしツアーが終わった事を実感した。
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Photo By Yoshiki
Matsubara |
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